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#28 デザイン 7/10

古民家再生デザイン帖 - 第7話:実例から学ぶ!古民家リノベーション成功事例集

 

こんにちは、株式会社Reafです。古民家再生の魅力と可能性をお届けする「古民家再生デザイン帖」。これまで第1話から第6話にわたり、古民家再生の魅力、基礎知識、デザインの考え方、施工プロセス、費用、そして信頼できる業者選びのポイントまで、幅広く解説してきました。

これまでの連載を通して、古民家が持つ独特の風合いや歴史的価値、そして現代のライフスタイルに合わせて再生させることの奥深さを感じていただけたのではないでしょうか。しかし、「実際にどんな風に変わるの?」「我が家の課題も解決できる?」といった具体的なイメージを持つのは、なかなか難しいかもしれません。

そこで第7話となる今回は、いよいよ具体的な成功事例にスポットを当てます。これまでの連載で触れてきた知識やポイントが、実際のプロジェクトでどのように活かされ、どのような課題を乗り越え、そしてどんな素敵な暮らしを実現したのか。タイプや規模、抱えていた課題、デザインアプローチが異なる複数の事例を通して、古民家リノベーションのリアルな姿と、そこに秘められた無限の可能性を紐解いていきましょう。

これから古民家再生をお考えの方、現在計画中の方にとって、きっと多くのヒントと勇気を与えてくれるはずです。私たちReafも数々の古民家再生を手掛けてきた経験から、実例の持つ力の大きさを実感しています。さあ、時を紡ぎ、暮らしを彩る古民家再生の物語を一緒に見ていきましょう。

事例紹介:多様なニーズに応える古民家リノベーション

古民家と一口に言っても、その種類や状態、そして住まい手の想いは千差万別です。ここでは、異なる背景を持つ3つの古民家リノベーション事例をご紹介します。それぞれのBefore(改修前)、Plan(計画・設計)、After(改修後)、そしてPoint(学ぶべき点)を通して、古民家再生の多様性と成功の秘訣を探ります。

事例1:【農家住宅】 寒さ・暗さ・耐震性の課題を克服し、世代をつなぐ快適空間へ

Before(改修前):

  • 建物概要: 築90年以上の木造農家住宅 。広々とした間取りながら、昔ながらの田の字型プランで、特に北側の部屋は光が入りにくく薄暗い印象 。  
  • 抱えていた課題:
    • 寒さ: 昔の家は夏の過ごしやすさを重視して建てられているため、断熱材が入っておらず、冬は非常に寒い 。特に隙間風や大きな開口部からの冷気侵入が深刻 。  
    • 暗さ: 南側に縁側や続き間があり、生活の中心となる部屋が家の奥にあるため、自然光が届きにくい 。  
    • 耐震性: 築年数が古く、現行の耐震基準(1981年以降の新耐震基準)を満たしていない可能性が高い 。地震への不安を抱えていた 。  
    • 老朽化: 経年劣化による柱や土台の傷み、設備の旧式化 。  
  • 施主の要望: 先祖代々受け継いできた家を、今後も安心して快適に暮らせるようにしたい。古民家の趣は残しつつ、現代的な生活に必要な性能(特に断熱性と耐震性)を確保し、明るく開放的な空間にしたい 。二世帯同居も視野に入れたい 。  

Plan(計画・設計):

  • コンセプト: 「歴史と快適性の融合」。古民家の持つ趣や良質な構造材を最大限に活かしながら、現代の技術で弱点を補強し、次世代へ住み継げる安全で快適な住まいを実現する。
  • 主な改修ポイント:
    • 耐震補強: 専門家による耐震診断を実施 。診断結果に基づき、基礎の補強(例:石場建て基礎周りのコンクリート補強、足固め) 、壁量の確保(耐力壁の設置) 、柱や梁の金物補強 、屋根の軽量化(必要に応じて) など、建物の構造特性に合わせた適切な補強を行う 。  
    • 断熱改修: 壁、床、天井(または屋根)への断熱材充填 。特に床下からの冷気対策として、断熱材の下に防湿シートを施工 。開口部には高性能サッシ(ペアガラス、トリプルガラス、内窓設置など)を採用し、気密性を高める 。  
    • 間取り変更・採光改善: 暗さの原因となっていた間仕切り壁を一部撤去し、広々としたLDKを創出 。光を取り込むために、吹き抜け や高窓 、天窓 の設置を検討。廊下をLDKに取り込むなどの工夫も 。  
    • 設備更新: キッチン、浴室、トイレなどの水回りを最新設備に入れ替え、使い勝手と快適性を向上 。  
    • デザイン: 既存の立派な梁や柱、建具など、再利用可能な古材は丁寧に補修・再塗装して「見せる」デザインに 。新しい素材(フローリング、壁材など)は古材と調和するものを選定 。  
  • 工夫した点: 構造躯体の状態を詳細に調査し 、残せるものは最大限活用することでコストを抑えつつ、古民家ならではの価値を維持 。耐震・断熱といった性能向上に関わる工事を優先的に実施 。  

After(改修後):

  • 完成した空間: (写真や間取り図を想定)かつての暗く寒いイメージは一新され、明るく開放的なLDKが家の中心に。大胆に現しにされた梁や柱が空間のアクセントとなり、歴史の重みとモダンな雰囲気が調和している 。最新のキッチンやユニットバスはデザイン性も高く、日々の家事が快適に 。高断熱化により、冬でも暖かく、夏は涼しく過ごせるようになった 。  
  • 実現した暮らし: 地震に対する不安がなくなり、安心して暮らせるようになった 。一年を通して室温が安定し、光熱費の削減にも繋がった 。家族構成の変化にも対応できる、柔軟性のある住空間が実現。  
  • 施主の声: 「見違えるように快適になった」「古い家の良さを残しながら、ここまで住みやすくなるとは思わなかった」「安心して次の世代に引き継げる」といった満足の声 。  

ポイント (Point):

  • 課題解決の鍵: 古民家特有の寒さ、暗さ、耐震性の問題は、適切な断熱改修と耐震補強によって克服可能です。特に断熱性能の向上は、快適性だけでなく健康面(ヒートショック防止など)にも寄与します 。  
  • 調査の重要性: 見えない部分の劣化(基礎、柱の腐食、シロアリ被害など)が進んでいる可能性があるため、着工前の詳細な調査(インスペクション)が不可欠です 。これにより、予期せぬ追加費用のリスクを低減できます 。  
  • 古材活用の価値: 既存の梁や柱、建具などを活かすことは、コスト削減だけでなく、新築では得られない歴史的な深みと個性を住まいに与えます 。  
  • 専門家の役割: 古民家再生には、伝統工法や建材に関する専門知識と経験が豊富な業者選びが成功の鍵となります 。  

事例2:【町家】 使いにくさとデザインを一新、和モダンが薫る上質な空間へ

Before(改修前):

  • 建物概要: 築100年を超える木造町家 。都市部や旧街道沿いに見られる、間口が狭く奥行きのある敷地に建つことが多い。隣家が近接している場合もある 。  
  • 抱えていた課題:
    • 使い勝手: 現代の生活様式に合わない細切れの間取り。水回りが古く、動線も悪い 。収納スペースの不足。  
    • デザイン: 全体的に古びた印象。施主は和の趣は残しつつ、より洗練されたモダンなデザインを求めている 。  
    • 暗さ・寒さ: 町家特有の課題として、中廊下や奥の部屋が暗く、冬は底冷えすることも 。  
  • 施主の要望: 日本文化が好きで、和のテイストを大切にしながら、現代的でスタイリッシュな「和モダン」空間を実現したい 。友人などを招けるような、おしゃれで居心地の良いLDKが欲しい。使いやすい水回り設備も必須。  

Plan(計画・設計):

  • コンセプト: 「伝統美と現代機能の融合」。町家ならではの構造や意匠を尊重しつつ、大胆な空間構成とモダンなデザイン要素を取り入れ、美しさと機能性を兼ね備えた住まいを創造する。
  • 主な改修ポイント:
    • 間取り変更: 既存の間仕切り(襖や壁)を取り払い、開放的なLDKを創出 。必要に応じて、視線が抜けるような工夫(例:格子戸の採用 、室内窓 )を取り入れる。  
    • 既存要素の活用と演出: 立派な梁や柱、欄間、古い建具などを可能な限り保存・修復し、空間のアクセントとして活かす 。例えば、梁を黒く塗装してモダンな印象に 、古い蔵戸をインテリアの主役に 。  
    • 和モダンデザインの導入:
      • 素材: 無垢材フローリング、珪藻土や漆喰の塗り壁 、タイル、和紙など、自然素材とモダンな素材(ステンレス、ガラスなど )をバランス良く組み合わせる 。  
      • 色: 白、黒、グレー、木の色などを基調とし、落ち着いたトーンで統一。アクセントカラーを効果的に使用 。  
      • 照明: ダウンライトやスポットライト、間接照明を効果的に用い、陰影のある落ち着いた空間を演出 。デザイン性の高いペンダントライトなども活用 。  
    • 水回り更新: キッチンや浴室、洗面所を最新設備に更新。デザインも空間全体のテイストに合わせて、シンプルモダンなものや、信楽焼の手洗い鉢など和の趣を感じさせるものを選択 。  
    • 断熱・採光改善: 必要に応じて断熱改修を実施。暗くなりがちな部分には、吹き抜け、高窓、光庭 、トップライトなどを設けて自然光を取り込む工夫を検討 。  
  • 工夫した点: 施主の「好き」やこだわりを丁寧にヒアリングし、建具や素材選びに反映 。古材の風合いと新しい素材の対比を意識したデザイン 。生活動線や収納計画にも配慮し、見た目だけでなく暮らしやすさも追求。  

After(改修後):

  • 完成した空間: (写真や間取り図を想定)古き良き町家の趣と、洗練されたモダンデザインが見事に調和した空間 。開放的なLDKは、既存の梁やこだわりの建具がアクセントとなり、個性的でありながら落ち着きのある雰囲気を醸し出す 。間接照明が空間に深みを与え、夜はまた違った表情を見せる。キッチンや浴室もデザイン性と機能性を両立 。  
  • 実現した暮らし: 以前の細切れで使いにくかった間取りから解放され、広々としたLDKで家族や友人と過ごす時間が増えた。デザイン性の高い空間で、日々の暮らしが豊かになった。断熱改修により、冬の寒さや夏の暑さも軽減された 。  
  • 施主の声: 「想像していた以上の和モダン空間になった」「古い家の良さが活かされていて嬉しい」「毎日過ごすのが楽しい」といった喜びの声。

ポイント (Point):

  • デザインの可能性: 古民家リノベーションは、画一的な新築住宅にはない、自由で個性的なデザインを実現できる可能性を秘めています。「和モダン」というテーマの中でも、古材の活かし方、素材や色の組み合わせ、照明計画によって、多様な表現が可能です 。  
  • 計画性の重要性: 理想の空間を実現するためには、事前の綿密な計画と、施主と設計者・施工業者との間のイメージ共有が不可欠です 。写真やCGパースなどを活用して、完成形を具体的に確認しながら進めることが、イメージとのずれを防ぐ鍵となります 。  
  • 既存要素の価値: 使える既存の柱、梁、建具などは、積極的に再利用することで、コストを抑えながら空間に深みと物語性を与えることができます 。  
  • バランス感覚: 古いものと新しいもの、和と洋、伝統と現代機能といった要素を、どのようにバランス良く組み合わせるかが、和モダンデザイン成功の鍵となります 。  

事例3:【豪雪地帯の古民家】 寒さと雪、予算の壁を乗り越え、温かく実用的な住まいへ

Before(改修前):

  • 建物概要: 新潟県などの豪雪地帯に建つ古民家。豪雪に耐えるための太い柱や梁を持つ頑丈な構造が特徴 。  
  • 抱えていた課題:
    • 厳しい寒さ: 断熱性能が低く、冬場の寒さは非常に厳しい 。隙間風も多く、暖房効率が悪い 。  
    • 雪への対応: 大量の積雪による建物の負担、雪下ろしの労力 、玄関周りの雪対策、設備の保護など、雪国特有の課題 。  
    • 予算の制約: 断熱・耐震・雪対策など、必要な工事が多く、費用が高額になりがち 。限られた予算内で、どこまで改修できるかが課題 。  
    • 老朽化・使い勝手: 水回り設備の旧式化、現代の生活に合わない間取りなど、一般的な古民家の課題も併せ持つ 。  
  • 施主の要望: とにかく冬を暖かく快適に過ごせる家にしたい 。雪国の暮らしに対応できる実用的な機能も欲しい。古民家の良さは残したいが、予算内で最大限の効果を得たい。  

Plan(計画・設計):

  • コンセプト: 「雪国仕様の快適・安心リノベーション」。豪雪地帯の気候風土に適応した性能向上を最優先しつつ、コスト管理を徹底し、持続可能な暮らしを実現する。
  • 主な改修ポイント:
    • 最優先事項:断熱・気密性能の徹底強化:
      • 壁・床・天井(屋根)に高性能な断熱材(例:セルロースファイバー 、グラスウール 、発泡ウレタン吹付 など)を隙間なく施工 。  
      • 開口部は熱損失が大きい箇所なので、断熱性の高いサッシ(樹脂サッシ、トリプルガラスなど)への交換や内窓の設置を徹底 。  
      • 気密性を高めるための気流止め工事なども実施 。  
    • 構造補強(雪荷重考慮): 豪雪に耐えうる構造か診断し、必要に応じて柱・梁の補強や耐震補強を実施 。屋根形状を雪が自然に落ちやすい落雪式に変更することも検討 。  
    • 雪国仕様のデザイン・設備:
      • 玄関周りに深いポーチや風除室を設け、雪の吹き込みを防ぐ 。  
      • 土間スペースを広く取り、雪かき道具や濡れた衣服・靴の置き場、作業スペースとして活用 。  
      • 給湯器やエアコン室外機などを雪から保護する配置計画 。  
      • 薪ストーブなど、補助暖房の導入も検討 。  
    • コスト管理戦略:
      • 工事の優先順位付け:まずは生命線である断熱・耐震・構造補強を最優先 。内装や設備のグレードは予算に応じて調整 。  
      • 既存利用:状態の良い柱、梁、建具などを可能な限り再利用 。  
      • 補助金・減税制度の活用:国や自治体の支援制度を調査し、積極的に活用 。  
      • 地元業者の活用:地域の気候や特性を熟知した地元業者に依頼することで、適切な提案とコスト削減が期待できる場合がある 。  
    • 採光: 雪で閉ざされがちな冬でも明るさを確保するため、吹き抜け や高窓、天窓 、光庭などを効果的に配置することを検討。  
  • 工夫した点: 雪国の暮らしやすさを第一に考えたプランニング。断熱性能を数値目標(例:HEAT20 G1/G2レベルなど)を設定して設計。予算内で最大の効果を得るための優先順位付けと代替案の検討。

After(改修後):

  • 完成した空間: (写真や間取り図を想定)冬でも暖かく、隙間風のない快適な室内空間が実現 。断熱性能の向上により、暖房費も大幅に削減。雪の多い日でも玄関周りの出入りがスムーズになり、除雪作業の負担も軽減。吹き抜けや大きな窓から光が差し込み、明るいリビングダイニングに 。古民家らしい梁や柱と、モダンな設備が調和した空間。  
  • 実現した暮らし: 厳しい冬の寒さから解放され、一年を通して快適な生活を送れるようになった。雪に対するストレスが減り、雪国の暮らしをより楽しめるようになった。予算内で理想に近い住まいが実現し、経済的な負担も軽減。
  • 施主の声: 「冬がこんなに暖かくなるなんて驚き」「雪かきが楽になった」「光熱費が安くなった」「予算内でここまでできて満足」といった、快適性と実用性、コストパフォーマンスに関する満足の声 。  

ポイント (Point):

  • 断熱・気密の重要性: 豪雪地帯の古民家再生において、断熱・気密性能の向上は最重要課題です。適切な断熱改修は、快適性向上、光熱費削減、建物の長寿命化に繋がります 。  
  • 雪対策の具体化: 雪下ろしの負担軽減(落雪屋根など)、除雪道具の収納スペース(広い土間など)、設備の保護、玄関周りの工夫など、雪国の生活に即した具体的な対策を計画に盛り込むことが重要です 。  
  • 優先順位付けとコスト意識: 限られた予算の中で最大限の効果を得るためには、工事内容に優先順位をつけ、必須の性能向上工事(耐震・断熱)から確実に実施することが賢明です 。設備のグレード調整や既存部材の活用も有効なコスト削減策です 。  
  • 地域専門家の知見: 地域の気候風土や建築特性を熟知した専門家(設計者、工務店)との連携が、適切な計画と施工に繋がります。特に補助金情報は地域によって異なるため、地元業者からの情報提供も役立ちます 。私たちReafも、見附市や新潟県の気候を考慮した最適なプランをご提案します。  

古民家リノベーション事例 比較

特徴 事例1:農家住宅 (寒さ・暗さ・耐震性) 事例2:町家 (使い勝手・デザイン) 事例3:豪雪地帯の古民家 (寒さ・雪・予算)
タイプ 農家住宅 町家 豪雪地帯の古民家 (例: 元料亭、一般住宅)
築年数 (目安) 90年以上 100年超 80年~90年程度
主な課題 寒さ、暗さ、耐震性、老朽化 使い勝手(間取り)、旧式設備、デザイン性、暗さ 厳しい寒さ、雪対策、予算管理、老朽化
主な解決策 徹底した耐震補強、断熱改修、間取り変更(採光改善)、設備更新 間取り変更(LDK化)、既存要素活用、和モダンデザイン導入、設備更新、(必要に応じ)断熱・採光 最優先で断熱・気密改修、雪対策設計、構造補強(雪荷重考慮)、コスト管理(優先順位付け、補助金活用)
デザイン様式 伝統要素 + モダン (例: 梁見せ、現代設備) 和モダン (例: 格子戸、間接照明、素材感) 実用性重視 + 和モダン/伝統 (例: 土間活用、薪ストーブ)
特記事項 フルリノベーション、性能向上重視 デザイン性重視、既存建具・意匠の活用 気候適応、コスト管理、優先順位付けが鍵

 


まとめ:成功事例から学ぶ、古民家再生の可能性

今回ご紹介した3つの事例は、古民家リノベーションの多様な可能性を示しています。築年数や元の建物のタイプ、抱える課題、そして施主様の想いが異なれば、その解決策や完成形もまた、一つとして同じものはありません。

しかし、これらの成功事例には、いくつかの共通する成功の秘訣が見えてきます。

  1. 徹底した事前調査と計画: 建物の状態を正確に把握し(インスペクションの実施 )、隠れたリスク(構造の劣化、シロアリ被害など )を洗い出すこと。そして、明確なビジョンと優先順位に基づいた無理のない計画を立てることが、後悔や予算オーバーを防ぐ第一歩です 。  
  2. 専門家との良好な連携: 古民家特有の構造や工法、法規制 を理解し、適切な技術で対応できる経験豊富な専門家(設計者、工務店)を選ぶこと 。そして、要望やイメージを正確に伝え、密なコミュニケーションを取ることが、理想の住まいを実現する鍵となります 。  
  3. 温熱環境と耐震性の確保: 見た目のデザインだけでなく、「寒さ」「暑さ」といった温熱環境の改善(断熱・気密改修 )と、地震への備え(耐震補強 )は、安全で快適な暮らしの基盤です。これらを優先的に検討することが重要です。  
  4. 古き良きものの継承と現代性の調和: 全てを新しくするのではなく、既存の柱や梁、建具、欄間など、古民家ならではの魅力的な要素を可能な限り活かすこと 。これがコスト削減に繋がるだけでなく、建物にしかない個性と物語を与えます。その上で、現代のライフスタイルに合わせた間取りや最新設備をバランス良く取り入れることが、満足度の高いリノベーションに繋がります 。  
  5. 柔軟な発想とコスト意識: 予算内で理想を叶えるためには、優先順位付けが不可欠です 。設備のグレードを見直したり 、使える補助金や減税制度を最大限活用したり といった工夫も大切です。時には計画の変更を余儀なくされることもありますが 、それも古民家再生のプロセスの一部として捉え、専門家と相談しながら柔軟に対応していく姿勢が求められます。  

古民家再生は、単に古い家を修繕するだけではありません。その土地の歴史や文化、そして住み継いできた人々の想いを未来へと繋ぐ、創造的なプロジェクトです。今回ご紹介した事例が、皆さまの古民家再生への夢を後押しし、具体的な一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

株式会社Reafは、見附市・新潟県を中心に、専門家が、一軒一軒の古民家と真摯に向き合い、最適な再生プランをご提案しています。資金計画から設計、施工、アフターメンテナンスまで、どうぞお気軽にご相談ください。

次回予告: さて、「古民家での暮らしとメンテナンス」をテーマにお届けします。リノベーション後の快適な暮らしを持続させるための日常的なお手入れのコツ、無垢材や漆喰などの自然素材との付き合い方、定期的な点検の重要性など、古民家と長く、心地よく付き合っていくための秘訣をご紹介します。どうぞお楽しみに!